みなさん、こんにちは。 株式会社さびらの安里です。2024年2月14日(日) 琉球新報教育面 教育リレーコラムにて掲載のコラムをお届けします。
今回のテーマは子育てと社会です。昨年末、娘が誕生しました。絶賛子育て中です。日々、育児と仕事で追われるなかで感じたことをコラムに書いて見ました。ぜひご覧ください。
2024年2月11日(日) 琉球新報教育面 教育リレーコラム
「はるのひ。」安里拓也
はるのひ。
大きな泣き声で私を呼ぶ、赤子。外はまだ薄暗い。睡魔と戦いながら、暖かいベッドから抜け出し冷たいリビングへ向かう。ご要望通り、熱いお湯と粉ミルクを哺乳瓶に入れて、人肌まで冷ます。間に、急かすようにオムツをかえる。泣き叫ぶ口に、温もりある哺乳瓶を近づける。小さな手がつかむ。目を大きく開けてミルクがなくなるまで飲む。飲み干す。背中をさする。自分で出したゲップの大きな音に驚き、赤子はさらに泣く。
根負けした私は一緒に散歩へ出かける。普段、車でしか通らない道を、見える景色を口にしながら歩く。いつも早送りで見ている世界が、スローモーションになったような気分になる。コンビニでコーヒーを買い、門中墓に囲まれた公園のベンチに座り、一息。二人きり。久しぶりに草木の匂いと虫や風の音を感じる。
ふと、私と赤子の呼吸が重なり、ともに生きていることを実感する。同時に、初めてこの子の未来に思いを馳せる。育児が終わり、この子が独り立ちする時、どんな社会になっているだろうか。眠りを妨げる空に鳴り響く音は、排気ガスが満ちるこの道は、子どもの頃ミーバイを釣ったあの海は。今を生きる自分自身に問われている気がした。
帰宅し、久しぶりにテレビをつけた。盛んに取り上げられる芸能ニュースに疑問を持ちつつ、今社会で起きていることから確認しはじめた。日々の生活に追われるなかで、社会に目を向けるのは難しい。私だけではなく、子どもが生きる社会。親として子の未来に責任を持ちたい。
暖かい陽射しのなかで悠々と眠る我が子を抱っこしながら。
株式会社さびら 教育旅行チーム 安里拓也
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