みなさん、こんにちは。 株式会社さびらの安里です。2023年11月14日(火) 琉球新報教育面 教育リレーコラムにて掲載したコラムをお届けします。
テーマは沖縄戦の継承です。
今回は、対馬丸事件を通して沖縄戦の継承について改めて考えてみました。
語り継ぐ、残すってなんだ。
対馬丸平和学習事業の研修当日、平良啓子さんの訃報を知った。毎月のように語り部の訃報を告げるニュースが流れる。遺族や体験者が残してくれた記憶をどんなカタチで誰が残していくのか。今を生きる私たちは問われている。
戦後78年が経ち「沖縄戦の継承」は過渡期を迎えているが、そもそも沖縄戦の証言を残すことは、決して簡単ではなかった。それがよく分かるのが、対馬丸事件である。
対馬丸事件は、生存者に対して、証言の数が少ない。その背景には、いくつかのハードルが考えられる。まず、肉親や友人を亡くした過去と向き合う必要があること。自分だけ生き残ってしまったという罪悪感を抱えてしまう人も少なくなかった。
また、事件について話すことを禁じた「箝口令」が存在したことにより、話したくても話せない状況があった。それでも証言を残したのは過去と向き合い、同じ経験をしてほしくないという強い思いがあったからだ。
2018年から続いている沖縄県の対馬丸平和学習交流事業は、対馬丸事件の生存者、犠牲者が流れ着いた奄美大島宇検村にて、沖縄県の親子や奄美大島の子どもたちなどが一緒に学ぶ。今年は「継承」をテーマに、約70人の参加者が、継承することの意義や方法を、住む場所や世代の垣根を超えて、対馬丸事件を通して考えた。
「戦争を二度とくりかえしてはならない」という体験者の思いと、沖縄戦の教訓を残していくことこそが継承ではないだろうか。残ったのではなく、残されてきた沖縄戦。今こそ「沖縄戦の継承」を世代を超えてみんなで考える時だ。
株式会社さびら 安里 拓也
2023年11月14日(火) 琉球新報 教育面 未来へいっしょにいっぽ https://ryukyushimpo.jp/news/education/entry-2474144.html
株式会社さびらでは、沖縄戦や基地問題をテーマに平和ガイド(フィールドワーク)や講話、ワークショップなどを行っております。お気軽にお問合せください。
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